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「愚行録」妻夫木聡はとんでもないクソ野郎!(ネタバレあり)

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直木賞候補作にもなった貫井徳郎の同名ミステリー小説が原作ですが、いわゆる“イヤミス”の元祖として各方面から絶賛された作品。小説の読後感以上に映画では不快な感情しか残らない結末のモヤモヤはどこに持っていけばいい!?(ネタバレあり)

 

 

「愚行録」プチレビュー

 

 

仕掛けられた3度の衝撃ってどんなん?
あなたの日常が壊されるって洗脳でもされちゃうわけ?

 

 

gukoroku

 

 

映画が始まってからイヤ~な気分になるまでの時間、
僕史上、最短記録を更新した「愚行録」ですが、

 

 

冒頭のわずか3分で妻夫木聡演じる週刊誌記者の人間性が見えた感じ。
いや、正しくはこの目でしっかりと見せられた。

 

 

「うぁー、コイツ、めっちゃイヤなヤツやん」

 

 

…って瞬時に感じさせる演出が逆にすごかったけど、
賛否両論好き嫌いが両極端で真っ二つに分かれる作品ですね。

 

 

 

gukoroku tsumabuki

 

 

人は誰しも愚かな部分があって、
それを他人には知られたくないから本性を隠して…
あるいは狡猾に立ち回ってまでうまく生きようとしてるけど、

 

 

それこそが実は愚かなことで、
愚かな自分を受容できないだけなんですよね。

 

 

 

この作品で描かれる愚行にしたって、
決してリアリティーがないわけでは全然なく、

 

 

そこかしこに虚栄心とか身勝手な振る舞いがあるし、
時にドス黒い悪意まで見られますが、
逆に言えばこの世に愚直な人なんて見当たらない。

 

 

高倉健みたく「不器用ですから…」が通る時代でもない。
愚直に生きるって案外難しいかもしれないなって、
大真面目に考えさせられます。

 

 

演出としても不快感を増幅させるカメラの絶妙にビミョーな揺れ加減とか、
そんなことも含めて見終わった後はしばらくテンション上がらず。
ただ、僕の好きなどんでん返しはかなりやられました。

 

 

それにしても妻夫木聡はもちろん、
満島ひかり臼田あさ美市川由衣の演技が怖いくらい素晴らしい。
ワーナーブラザーズとオフィス北野の共同配給だけに、

 

 

「全員、クソ野郎!」

 

 

といったところ。
いい人もどうでもいい人も一人も出てきやしません。
ウソとクソにまみれた醜悪な人ばかり。

 

 

 

「愚行録」冒頭3分で判明するクソ野郎っぷり

 

 

実社会ではあまりオーバーに偽善者ぶる人は好きになれませんが、
田中という週刊誌記者の振る舞いには鋭く尖った嫌悪感で心をぶち抜かれました。

 

 

試合開始のゴングがまだ鳴り止まぬ中で、
いきなり一発、重量級のKOパンチをお見舞いされた気分やわ。

 

 

それでもダウンせずになんとかファイティングポーズを構えて見せるんだけど、

イヤミスが読後ではなく冒頭から最悪だったわけです。

 

 

その“事件”は会議室ではなく、バスの中で起こりました。
雨降りの最中、田中はバスの座席に着席中でした。
田中の目の前に現れたお婆ちゃん。

 

 

「お年寄りには座席を譲りましょう」

 

 

そんな常識という当たり前のマナーが無言の空気として醸し出されますが、
田中はそんなん関係ナッシングでガン無視してたら
そこに輩みたいなオッサンが「座席を譲れ!」とかましてきた。

 

 

ま、ここまではよくある話。

 

 

ゆっくりと席を立った田中は足を引きずるように移動するんです。
そして一瞬がくっとバランスを崩しながら、
どうも歩きづらそうなその様子は足に何かしら障害がある感じに見えます。

 

 

車内は一転して気まずく重々しい空気に変化し、
バツの悪そうな顔をしたのはそのオッサンだけではなく、
多くの乗客が申し訳なさそうな表情で凍り付いたような雰囲気の中で、

 

 

目的地に到着した田中はバスから降りた後、
バスが遠のいていくにつれて、
それまで引きずっていた足が通常の歩様になったんです。

 

 

そして、その表情からは笑みを含んだような「ざまみろ」感がこぼれてきました。

 

 

ギャギャギャ~~~っ!

 

 

「なんだコイツは…」
「コレだからいまどきの若者は…」
「おのれには高齢者を敬う気持ちがないんかい!」

 

 

という善意と杓子定規の正義感の押し売り的な視線に対し、
当てつけに足の悪い“フリ”をしてみせて、
一瞬でその場の空気を自分の味方につけるという悪意に満ちたテクニック。

 

 

本来なら田中の人間性を見せるのはもっと中盤以降でもよさそうなもんだけど、
最初にクソ野郎っぷりを存分に見せ付けられたから、

 

 

そこから先はもう「本性見たり」として、
他のどんなクソ野郎よりも強烈なクソ野郎にしか思えなくなりますもん。

 

 

 

「愚行録」で見せられるウラの顔(ネタバレあり)

 

 

理想的な家族が惨殺された。
世間では「なぜあんないい人たちが…?」という疑問符だらけ。
そこで、その家族をよく知る関係者に再度取材していくというお話。

 

 

会社の同僚や大学時代の同期、元カノなど、
どいつもこいつも真実を語ってるようにはとても思えないけど、
共通してるのはやっぱ心のどこかに「ざまみろ」感があることなんですよね。

 

 

 

gukouroku majima

 

 

 

エリート会社員の夫
家柄がよく上品で聡明な美しい妻
礼儀正しいお嬢様の娘

 

 

人から恨みを買うようには見えない一家がメッタ刺しにされる残虐性から、
誰もが「なぜ」と思うところ、次々と明らかになる一家のウラの顔。

 

 

世間のイメージとは裏腹なクズっぷりがえぐいえぐい。

 

 

例えば、お嬢様の夏原友季恵は大学内ヒエラルキーのトップに君臨しながら、
その立場を利用してまわりに絶対服従を強いるような女で、

 

 

表向きは「優しくて気の利く女性」だから男ウケはピカイチなんだけど、
裏では用意周到に仕込んだ策略で男を陥れていくという、
女にとって最大の敵のような尻軽ビッチ。

 

 

 

gukouroku matsumoto

 

 

そんな女が結婚相手に選んだのはエリート会社員なわけですが、
エリートという表面の肩書きしか見てないから“ババ”を引くわけです。

 

 

この男がまた目的のためには手段を選ばない最低なタイプで、
内定もらうためにコネのある女を口説き落とし、
用済みになったら平気でポイ捨てするようなクソ野郎なんよ。

 

 

 

gukouroku marika

 

 

つまり、この夫婦はどっちもどっちで、
いろんな人から恨みを買うようなことをしていたってわけ。

 

 

殺されても仕方ないとまでは言いませんが、
痛いしっぺ返しを食らうのは自業自得のような気がする。

 

 

そのくらいクソビッチ野郎なんで…

 

 

 

gukoroku koide

 

 

「愚行録」の3つの衝撃(ネタバレあり)

 

 

僕にとってはそれこそ冒頭のシークエンスも衝撃的でしたが、
この作品には「3つの衝撃」がありました。

 

 

 

その1.大学内ヒエラルキーに光子がいた!
その2.事件を取材する田中には意図があった!
その3.光子に育児放棄された娘の父親は実は…!

 

 
一つ一つ追っていきますが、
光子は幼少期に性的虐待されていた過去があって、
だからこそ、大学で新しい生活を始めるのは最後にして唯一の希望でした。

 

 

そんな中でヒエラルキーの頂点に立つ夏原友季恵に目をかけられ、
誰もが憧れるようなキャンパスライフを過ごすことができたのはよかったけど、

 

 

でも、実は光子は自分を引き立たせるために都合よく彼女から利用されていただけで、
手のひらを返すようにあっさりと裏切られてしまいました。

 

 

キラキラ輝くような希望の世界はただの見せかけだったんです。
男連中に陵辱される暗闇のような日々。

ヒエラルキーの底辺に突き落とされて身も心もズタボロ。

 

 

 

gukouroku mitsushima campus

 

 

数年後、光子はデパートで偶然彼女を見かけますが、
目が合いながらも無視されたことにイラっときた光子は彼女を尾行し、
郊外の住宅で娘と幸せそうに暮らす生活ぶりを見て逆上。

 

 

彼女と出会ったことで唯一の希望が打ち砕かれ、
再び絶望の淵に立たされた自分は「幸せになれない」のに、
彼女は当たり前のように幸せになってるのが許せないという感情が抑え切れず、

 

 

気がつけば人生すべての恨みを晴らすかのごとく、
勝手口から侵入して包丁で彼女をメッタ刺し。

 

 

それが…未解決の一家惨殺事件の真相でした。

 

 

2つ目の衝撃は光子の存在を大学同期の淳子が思い出したこと。
「夏原を恨んでいた人物がいた」という新たな事実を伝えるために田中を呼び出し、
特別扱いでヒエラルキーの頂点に仲間入りした光子に疑いを向けました。

 

 

もちろん、淳子は光子が目の前にいる田中の妹だなんて知るわけもなく、
光子と夏原の関係性をペラペラと喋っちゃうんですが、
ここで、この事件の再取材を始めた田中の意図が明らかとなるんです。

 

 

田中は自らが関係者に直接取材することで、
現時点で事件についてどこまで知ってるか?を改めて確認してたんですね。

 

 

そして、このまま放っておけば事件の核心までたどり着きかねない可能性のあった淳子を何の躊躇いもなくその場で撲殺。
自らの手で永遠なる口封じを行いました。

 

 

 

gukouroku usuta

 

 

最後の衝撃は光子の娘ですが、
父親からの性的虐待によって生まれた子供だと思わせながら、
実は兄である田中との間に生まれた近親相姦の娘だったという衝撃ボンバー。

 

 

この衝撃によって、光子が口にする、
「二人だけの秘密」という言葉が際立ってくる構図が素晴らしい。

 

 

あー、そうなんだ。
誰も立ち入ることのできない兄妹という特別な世界。
絶望から生まれたその世界には二人以外他に誰も必要ないんですよね。

 

 

この世の中は差別社会じゃなく階級社会
ヒエラルキーの最下層にいる貧しい人たちはどんなに努力しても変われない。
頂点に立つ富裕層は何もしなくても約束された裕福な未来が広がる。

 

 

変わることを夢見た光子が手に入れたチャンスは夏原に踏みにじられ、
愚かな夢を見た自分がバカだったと悟るしかない。

 

 

そんなの認めたくないけど、そんな楽しくない作品でした。

 

 

 

gukouroku circle

 

 

「愚行録」まとめ

 

 

終わってみればなんとも後味悪い作品ですが、
石川慶の演出によって冒頭からラストまで全部気持ち悪い作品となりました。
でも、それは悪い意味ではなく、良い意味で。

 

 

終わってみれば初監督作品でこれほど巧妙に仕掛けを施した演出は素晴らしく、

 

 

無表情なのに冷たい体温で全編を貫く妻夫木聡史上最低なクズ野郎キャラは見事だし、
どこか遠くを見つめてるようで心の内が読めない満島ひかり
愚かゆえに嫉妬や羨望という誰もが持つ感情を隠し切れない臼田あさ美
実は最も悪人っぽい市川由衣

 

 

 

gukoroku mitsushima

 

 

素晴らしい演技に素晴らしい演出でした。

 

 

「愚行録」の作品情報

 

 

原作:貫井徳郎
監督:石川慶
脚本:向井康介
公開日:2017年2月18日
配給:ワーナーブラザーズ/オフィス北野
上映時間:120分
出演者:
妻夫木聡(週刊誌記者の田中武志)
満島ひかり(田中の妹の光子)
臼田あさ美(夏原の大学同期の宮村淳子)
市川由衣(浩樹の大学時代の元カノの稲村恵美)
小出恵介(一家惨殺事件の被害者でエリート会社員/田向浩樹)
松本若菜(一家惨殺は事件の被害者で美しい妻/夏原友季恵)
眞島秀和(浩樹の同僚の渡辺正人)

 

 

gukoroku yui

 

 

 

「愚行録」のあらすじ

 

 

閑静な住宅街で発生した世間を震撼とさせる一家惨殺事件から1年が過ぎた。被害者である田向家はエリート会社員の父親(小出恵介)に美しい妻(松本若菜)と礼儀正しい娘という誰もが羨むような理想の家族だったが、事件の真相を追う週刊誌記者の田中(妻夫木聡)はいささか違和感を感じていた。一家の関係者を取材するうちに表向きは穏やかな家族の裏側が見えてきたのだ。浩樹の同僚の渡辺正人(眞島秀和)や友季恵の大学時代の同期である宮村淳子(臼田あさ美)、浩樹の大学時代の恋人の稲村恵美(市川由衣)らから得られたコメントの数々は一致しないどころか、誰も知らない一家の意外な素顔がどんどん浮き彫りなっていくが、一方、田中自身も妹の光子(満島ひかり)が育児放棄の容疑で逮捕されるという問題を抱えていた…。

 

 

「愚行録」の予告篇

 

 

 

 

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