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人気少女漫画の「四月は君の嘘」の実写化作品は原作やアニメにはなかった改変が行われ、まったく印象の異なる作品になっちゃったのは残念。安易に涙腺を壊そうとする新城監督作品にはありがちな演出ですが…
青春恋愛映画大好き男として、
実写映画化が決まった昨年から楽しみでならなかった、
「四月は君の嘘」ですが、
う~~~~ん、なんか素直に泣けなかったです。
いろんな意味で残念だったし、
やっぱこの監督と脚本では嫌な予感しかなかったんだけど、
フツーにダメだわ、コレ。
映画「四月は君の嘘」のあらすじ
完全無欠、正確無比、ヒューマンメトロノームと称された天才ピアニスト・有馬公生(山崎賢人)は、母の詩を境にピアノが弾けなくなってしまう。
高校2年生となった4月のある日、公生は幼馴染の澤部椿(石井杏奈)と渡亮太(中川大志)に誘われ、ヴァイオリニスト・宮園かをり(広瀬すず)と出会う。
勝気で、自由奔放、まるで空に浮かぶ雲のように掴みどころのない性格――
そんなかをりの自由で豊かで楽しげな演奏に惹かれていく公生。
かをりの強引な誘いをきっかけに公生はピアノと”母との思い出”に再び向き合い始める。
ようやく動き出した公生の時間。
だが、かをりの身体は重い病に侵されていて…。
(公式サイトより)
(C)2016映画「四月は君の嘘」製作委員会(C)新川直司/講談社
美しい映像には定評のある新城毅彦監督ですが、
この監督は“死”なくしては男女の心の機微を描けないから、
実はドラマ的には凡庸となるんです。
この作品では“死”があるにもかかわらず、
漫画にもアニメにもなかった最もストレートな言葉を途中で使っちゃった。
それは後述しますが、
じわじわと感情を高ぶらせていく…ということが得意ではないので、
一気に感情をピークに持っていくしかない。
でも、あえてそのあたりをこの作品では描こうとしてないから、
そもそも「泣かせる気あんの?」なんて思っちゃったよ。
終始淡泊な演出が盛り上がりを欠きました。
美しい映像と引き換えにドラマ性を失ったと言うべきか。
音楽はある意味主役なのに…
演奏中は二人だけの空間になれるからこそ、
ピアノとヴァイオリンという楽器を通して心を通わせることができるのに…
お互いの優しさや内に秘めた思いがモノローグで伝えられるのに…
そんな場面がすごく少なかった(4回)のが残念。
少ないなりにめっちゃよかった演奏場面をもっと長く見たかった。
音楽をアイテムに、
不治の病気を足かせとして、
明るくて爽やかな青春ラブストーリーにした感じ。
恋愛はハードルが高い方が燃え上がるという、
心理学用語の“ロミオとジュリエット効果”を狙ったものにしても、
二人の性格があまり活かされてない感は否めません。
楽譜が読めなくなるのは怨念のせい?
公生のお母さんのスパルタは狂気じみて殺気立ってたけど、
これは自分の命がもう長くないという理由があってのかなり強すぎた愛の鞭。
公生もその思いに応えようと必死に頑張った。
死に物狂いで頑張った。
自分でもパーフェクトと思えるような演奏ができても、
理不尽に叱責され、譜面に向かわされ、
ついに耐え切れなくなって口から勢いでつい飛び出してしまった、
「お母さんなんて死んじゃったらいいのに…」
という、
絶対に口にしちゃいけない言葉。
悪意のない子供が吐いた言葉を叶えてしまう理不尽な神様。
本当にお母さんが死んじゃって、
この言葉の呪縛が公生からピアノの音を奪いました。
でも、死んでもなお、
まるで公生を苦しめる呪縛霊のようにまとわりつくのはさすがにドン引き。
公生の勇姿を見守るために観客席の最後列に姿を現すのだって、
ホラー映画みたいに描く必要、ある!?
そんなテイストの作品ちゃうっちゅうねん。
確かにモノクロの漫画では影のようになってるけど、
映画でのこの演出はやり過ぎやわ。
「お母さんのようにもっとうまくならなきゃ」
そんなプレッシャーが今まで以上に、
11歳の小さな体にさらに重く大きくのしかかって、
楽譜が…
音符が…
音色が…
目の前から…
頭の中から消えていく…
変わるキッカケ
「弾けなくても弾けばいいのに…」
天真爛漫なかをりの言葉。
自由奔放な音を奏でるかをりのヴァイオリン。
二人で過ごす何気ない日々。
止まっていた公生の時間がゆっくりと動き出し、
モノトーンの世界がカラフルに、
自由な音楽で彩られていくんですよね。
期待してた分だけガッカリ度も大きいけど、
全体としては贔屓目に見て及第点かな。
ネタバレしますのでご注意ください!
原作漫画やアニメ版との主な差異
- 14歳の中学生から17歳の高校2年生に変更
- 公生のライバルであり、重要な役割を果たす武士と絵見と凪が登場しない
- ついでに三池も登場しない
公生は11歳で音が聴こえなくなったことでピアノが弾けなくなったわけですが、
いろいろあって14歳で再びピアノが楽しく弾けるようになりました。
それでもブランクは3年間。
この改変によって6年のブランクがありながら一瞬で天才に戻っちゃうわけで、
「ヒューマンメトロノーム」と揶揄されるような天才とはいえ、
さすがに無理があるやん。
しかも、武士も絵見も凪もいない中で…。
人は圧倒的なライバルがいてこそ成長するもんだけど、
かをりや椿や渡たちの友情の力でこの長期ブランクの克服は可能なん?
そこまでの天才ならいいや。
せめて三池だけでもガラコンを勝手にドタキャンしたかをりの件で出しておいたら、
オーディエンスを魅了する公生の卓越した演奏力にさらなる説得力を持たせられたのに…
あのおっさんの対応よりは効果大きいのになー。
ま、漫画ですもんね。
そんな冷めたことは言いたくないですが…
久しぶりに原作やアニメを台無しにする映画を見た感じ。
別物…とはいえ、残念なもんは残念。
手紙のあっさり感が悲しい。
ものすごく重要なあの手紙の扱いが軽すぎるなー。
でもって、手紙を読み終えてから、
ラストシーンは絶対あのセリフで終わってほしかったぞ。
もうすぐ春が来る
君と出会った春が来る
君のいない春が来る
当たり前だけど、かをりとの出会いが公生を大きく変えました。
そして、かをりのいない春がもうすぐやってくる。
強く逞しくなった公生を足元から表情までゆっくりと映し出して、
そのまま見上げるようにズームアウトしながら、
桜の木から青空に向かうショット。
バックで流れるのは譜面に囚われない自由奔放なかをりのヴァイオリン♪
そんなカットが見てみたかった。
ま、エンドロールで流れるいきものがかりの主題歌「ラストシーン」が、
「君だけがいない今を生きていく」って代弁してますが…
切ない嘘を無意味なモノにしたのは誰なんだ!?
有馬公生くん、君が好きです♡
個人的に最も残念だったのは「好き」って言葉をセリフにしちゃったこと。
かをりは手紙の中で伝えますが、
公生はその気持ちはあってもハッキリと言葉では明言はしません。
お互いに好きな、
いわゆる“両片想い”なんですよね。
それが内気な公生らしさであり、かをりとのギャップでもあります。
自分の気持ちを前面に出さない優しさもあるから、
つねに受け身で、恋心さえもかをりに引っ張られてるわけです。
自転車の二人乗りでも前ではなく後ろなわけよ。
でも、ハッキリと言っちゃったよ。
この「好き」っていうたった二文字が言えないからこそ公生なのに、
言えないからこそ、言えなかったからこそ、
「宮園かをりが渡亮太くんを好き」
という嘘をついたことを謝るかをりの手紙が活きてくるのに、
全部全部全部台無しやん。
だって、その嘘を公生は本気にしてるわけだから、
絶対に絶対に言えないんだもん。
だから、かをりは手紙という形でしか伝えられないんだよ。
嘘でカモフラージュしなきゃ会えないくらい好きだったんだよ。
言葉の重みを誰よりもよく知ってるはずの公生に、
どうして言葉にして自分の思いを言わせちゃったんだよー。
演出?脚本?
どっちにしてもクライマックスまで我慢できなかったんでしょうね。
ここらで泣かせておきたかったんでしょうね。
かをりは何のためについた嘘なのか?
その罪深きも切ない嘘は公生にどんな影響を与えたか?
だからこそ、あの手紙で真実を知った瞬間、
涙腺が崩壊して号泣するわけやん。
あんな状況になったらになにも伝えたいわけにはいかない、
公生の気持ちもわからんでもないけど…
椿役の石井杏奈と渡役の中川大志はすごく良かったし、
少女漫画の実写化作品に出演が相次ぐ山崎賢人に初めて好感持てたわ。
海岸通りを2人乗りで疾走する場面なんて爽やかで清々しい。
この作品の監督
しかし、主要人物の誰かを死なせることで涙を誘う、
新城毅彦監督作品はさすがにもううんざり。
新城毅彦監督作品はとにかく人が死ぬ。
北川景子主演の「Paradise Kiss」以外の5作品すべて主役格が死にます。
ただ、君を愛してる
Life 天国で君に逢えたら
僕の初恋をキミに捧ぐ
四月は君の嘘
潔く柔く
死亡率は驚異的な83%!!!!
青春を謳歌する若者たち
広瀬すず as 宮園かをり
宮園かをり
公生の友人・渡のことを好きだという椿のクラスメイト。自由奔放で個性的なヴァイオリニストで、ピアノを弾くことが出来なくなっていた公生をコンクールの伴奏者に指名する。しかし、かをりには秘密があって・・・。
広瀬すず
1998年6月19日生まれ、静岡県出身。2012年に雑誌「Seventeen」の専属モデルとなり、13年、ドラマ「幽かな彼女」で女優デビュー。15年、「学校のカイダン」でドラマ初主演。映画『海街diary』(15)で日本アカデミー賞新人俳優賞他、数々の賞を受賞。『ちはやふる-上の句・下の句-』(16)で映画単独初主演を果たした。今後の公開作に『怒り』(16)、『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(17年公開予定)などがある。
(画像出典およびプロフィールは公式サイトより)
山崎賢人 as 有馬公生
有馬公生
幼い頃、母からの厳しい指導を受け、コンクールで多数優勝した経験を持つ天才ピアニスト。母の死後、ピアノの音が聞こえなくなってしまう。かをりとの出会いをきっかけにピアノと“母との思い出”へ向き合っていく。
山崎賢人
1994年9月7日生まれ、東京都出身。2010年にドラマ「熱海の捜査官」で俳優デビュー。映画『管制塔』(11)で映画初主演。15年にNHK連続テレビ小説「まれ」、「デスノート」で幅広い人気を獲得し、映画『ヒロイン失格』(15)、『orange-オレンジ-』(15)が大ヒット。日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞した。その他の主な出演映画に、『L♥DK』(14)、『オオカミ少女と黒王子』(16)、『一週間フレンズ。』(17年2月公開予定)などがある。CX月9ドラマ「好きな人がいること」に出演中。
(画像出典およびプロフィールは公式サイトより)
石井杏奈 as 澤部椿
澤部椿
公生の幼馴染でソフトボール部所属のスポーツ少女。公生にもう一度ピアノと向き合ってほしいと考えている。公生を弟のように思っていたが、かをりが現れてから、公生への恋心を次第に意識していく。
石井杏奈
1998年7月11日生まれ、東京都出身。2011年にE-girlsのメンバーとなり、ドラマ「GTO」(12)で女優として注目される。主な出演映画に『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』(15)、『ガールズ・ステップ』(15)、『スプリング、ハズ、カム』(17年公開予定)、『たたら侍』(17年公開予定)などがある。16年7月クールのTBS ドラマ「仰げば尊し」に出演。
(画像出典およびプロフィールは公式サイトより)
中川大志 as 渡亮太
渡亮太
公生と椿の幼い頃からの友人。サッカー部に所属しており、運動神経がよく、お調子者で、とにかく女子にモテる。一方で友達思いの一面もあり、公生や椿のことを気にかけている。
中川大志
1998年6月14日生まれ、東京都出身。2009年に俳優デビュー。「家政婦のミタ」(11)で一躍注目を浴び、「GTO」(12)、「水球ヤンキース」(14)、「南くんの恋人~my little lover」(15)など数々のドラマに出演。映画は『青鬼ver2.0』(15)で初主演を務めた。16年は、NHK大河ドラマ「真田丸」にも出演。
(画像出典およびプロフィールは公式サイトより)
アニメの最終回は美麗な映像の限界点!
おそらくアニメ史上最高の最終回として後世まで語り継がれるでしょうね。
ても、テクノロジーの革新も進み、クリエイターの技術も負けじと進化してくるかな。
とにかく漫画もアニメもよかったのに映画だけが残念賞。
漫画もアニメも号泣したのに映画だけは琴線に触れなかったのも初めて。
広瀬すず、山崎賢人、中川大志、石井杏奈…
出演者の熱演も空しく、なんか自分の中で空気がもやっとしてたから、
アニメの最終回を見直して気を取り戻しました。
最大の収穫はイケメン界の17歳の新星・中川大志かな。
「無理かどうかは女の子が決めてくれる」というのはなかなか名言。
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